研究概要 |
平成19年度において,9ノードからなる低消費電力コンパクトクラスタを構成した.本クラスタは通常ノート型パソコンに使用されるPentiumM(2.0GHz)のCPUを搭載したクラスタである.PentiumMは発熱や消費電力も比較的少ないので,ATX規格よる少し大きい程度のスペース(W32cmxH15cmxD55cm)に3ノード搭載したシステムを構築できる.また,外部記憶装置は,発熱や耐故障性を考え,HDDを使用せずにCompact Flash Memoryを採用した.本クラスタのマザーボードには,2つのGigabit Ethernetポートが搭載されており,それらのポートを筐体内のネットワークと筐体外のネットワークに使用することにした.また,既存のクラスタとして,PentiumIIIのクラスタが27台ある.このクラスタには,筐体外のネットワークのみ実装されていたが,このクラスタにもGigabit Ethernetのポートを1つ増設し,筐体内ネットワークを構築した.さらに,昨年度提案したネットワークフレームワークおよび通信ライブラリを,今回構築した筐体内ネットワークに対し適用した. PentiumMのクラスタにPentiumIIIのクラスタを融合させ,Heterogeneous(異種混合)なクラスタを構築し,ネットワークを筐体外ネットワークのみを使用した場合と筐体内外のネットワークを使用した場合の性能評価を行った.また,静的負荷分散において,計算ノードで実行する計算プロセス数を変えて,計算負荷の状態を評価した.評価プログラムは,分子軌道計算プログラムである.ネットワークの性能評価では,静的負荷分散の場合,筐体内外のネットワークを使用しても筐体外のネットワークのみ使用しても実行時間に変化はなかったが,動的負荷分散の場合では,筐体内外のネットワークを使用したほうが,10%性能が改善した.
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