研究概要 |
平成18年度の研究において,被災者発見システムによる広域探索方式を提案し,計算機シミュレーションによってその有効性を確認することができた. ここに被災者発見システムとは,研究代表者が先に提案した災害救助システムであり,アドホックネットワークで接続された群ロボットとモニタ局からなる.各ロボットが自律的パス修復を行ってネットワークの維持を行い,この結果災害現場において被災者の実時間探索を行うことができる点に特長がある.実時間探索とは,各ロボットとオペレータの間に常に通信パスが存在し,同通信パスによって,ロボットが被災者を発見したときのオペレータによる即時検証が可能となる方式である.実時間探索は,これ以外にも被災者発見時に救助隊の即時の出動が可能となるなどの理由により,災害救助システムにおける本質的に重要な方式である. 提案した方式は,被災者発見システムを構成する個々のロボットが,ネットワークトポロジーにおける自己の位置を基準として,探索ロボットと中継ロボットに適宜に自己を分類し,この分類にしたがって適切に行動する方式である.探索ロボットは災害現場内を探索ロボットどうしの協調行動にもとづいて探索する.中継ロボットは,オペレータが待機するモニタ局と主探索ロボットとの通信パスを維持するように行動する.提案方式は,探索ロボット/中継ロボット分類手順,および各ロボットの行動アルゴリズムを含む.これらの方式の組み合わせによって,被災者発見システムによる災害現場内の実時間探索が実現する.
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