研究概要 |
Peer-to-Peer (P2P)システムでは、膨大な数の対等なピアプロセスがある目的を達成するために協調動作を行う。P2Pシステムの大規模性、開放性から、各ピアがシステム内の他のピアのサービスについての情報をすべて把握することは困難である。このため、各ピアは自分の知人ピア(acquaintance)からの情報を基に必要とするオブジェクトに対する操作を行う。このとき、各ピアが、知人ピアをどのように信用するかが重要である。初年度(平成18年度)は,P2Pシステムにおける知人ピアの信用度とは何かについて主に議論した。新たにマルチメディアオブジェクトのサービス品質(QoS)、誰がどのオブジェクトをどのように利用できるかについてのアクセス制御、各ピアの信頼性、可用性等の従来からの概念を再検討、統合化して、新たに知人ピアの「信用可能度(trustworthiness)」の定義を行った。また、知人ピアがどの程度信頼されているかを示すために、「ランキング因子(ranking factor)」の概念を新たに定義した。ここでは、ピアが信頼できる知人ピアの評判(reputation)のみを考えることにより不確かな評判を除くことができる点に新規性があり有用である。「信用可能度」と「ランキング因子」の概念を基に、膨大なピアプロセスの中から利用者の要求を満足するピアを発見するためのCharg-based flooding (CBF)アルゴリズム新たに考案し、実装と評価を行った。評価により、目標とするピアを発見するためのメッセージ数を減少し、発見する率を向上できることを示した。当初の予算では、評価用にパソコンを購入予定であったが、業績に示すように予想以上の研究成果があり、4回の海外のIEEE主催の国際会議(AINA, ICDCS/MNSA, ISM, FTDCS)での研究成果発表のための旅費として予算を主に利用した。国際会議での研究発表に加えて、11に示すように7件のInternational Journalに論文を発表した。パソコンとしては既設のものを活用した。
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