研究課題
ユビキタスネットワークのデバイス間通信方式として、アドホックネットワークが注目されている。アドホックネットワークは、無線をべースにした通信技術であるため、安全性について有線ネットワークよりも課題が多い。また、通信路の信頼性についても、有線ネットワークに比べて劣っている。今年度は、パーソナルエリアネットワークの参加者が、互いに相手の信頼度を評価する「評判システム」を応用したアドホックルーティングについての研究を行った。評判システムによって推定された相手の信用度は、情報を公開するレベルやパケットの配送経路の決定を行うなどの安全なシステム構築のための基盤となる。特に、昨年度我々は最尤推定と呼ばれる確率的な推定方法を使った既存の手法に対して、更に結託攻撃に対する耐性を持たせることに成功した。今年度の研究では、アドホックルーティングにおけるセルフィッシュノードの検出と、ノードに対してセルフィッシュな行動を抑制するための戦略について提案した。セルフィッシュノードの検出は、従来ルーティングパケットの転送の実施状況からのみ判断していたが、パケットロスの影響で誤検出が多かった。本研究では、セルフィッシュノードかどうかの判定を、ルーティングパケットの転送状況と評判情報を組み合わせることで、より正確な判定を可能とした。また、評判の高いノードにはインセンティブとして優先度を高めることと、セルフィッシュノードに対しては、通信帯域の制限を課すことで、セルフィッシュの行動を抑制することにした。いくつかの行動モデルを仮定したノードをもとに、上記の方法をシミュレーションし、従来方式に比べてルート発見率が高まることを示した。また、評判情報の検索や通信ノードの検索は、分散ハッシュテーブルによる検索が行われているが、柔軟な検索が行えないなどの問題があった。本研究では柔軟なセキュリティ情報の検索のための技術として、ブルームフィルタと木構造を使った管理方法による新しい情報検索方式を提案し、その有効性を評価した。この成果は、3月の国際会議において報告を行った。
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IEEE Third Workshop on Engineering Compiex Distributed Systems (ECDS 2009)
ページ: 500-505
IEEE 23rd International Conference on Advanced Information Networking and Applications Workshops (WAINA 2009) (アクセプト)