研究概要 |
私たちは,民俗芸能の舞踊を記録・保存するために,3次元デジタル舞踊符(以下,舞踊符)を提案していた。舞踊符はモーションキャプチャ(MOCAP)により収録した人の動きの3次元デジタルデータを基本動作に分割し名前を付けたものである。舞踊符を連接することによって舞踊の記録・保存ができるだけでなく創作もできる。 平成18年度には,実用化のための要素技術として,舞踊符の自動作成,舞踊コンポーザの作成,ベータベース等の開発を行った。平成19年度は,舞踊符の活用法と公開のためのデータベースを検討した。 1.活用法の検討 舞踊の鑑賞のために,舞踊コンポーザで合成したデータからパソコン上で舞踊をリアルに再現するビューアの開発を行った。また,どこにいても簡単に舞踊を鑑賞できるように,無線LAN機能のあるPDAを使って舞踊を表示できる手法を開発した。PDAにはインターネット経由でデータベースから舞踊符をダウンロードする。 2.ネットワーク利用した公開のためのデータベースの構築 舞踊符は,インターネットを使って公開することを考えている。舞踊をMOCAPで記録するとき,身体動作データの他にデジタルカメラによる静止画,ビデオカメラによる動画,オーディオレコーダによる楽曲等を同時に記録する。身体動作データは鑑賞や伝承のためだけでなくCG作品の制作や動作解析などに使うことも想定しているので,複数のデータフォーマットで記録してあることが望ましい。従って,メタデータを表記してマルチメディアデータとして公開する必要がある。そこで,マルチメディア・コンテンツに対するメタデータの表記に関する国際標準規格であるMPEG-7を用い,多様なフォーマットのデータを包括的に記録可能な舞踊データアーカイブ方式を開発した。 この2年間,舞踊符を実用化するための基礎的な研究を行った。今後は,これらの成果をもとに,民俗芸能の舞踊を含む匠の技の伝承技術の開発を目指す。
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