研究概要 |
画像用電子透かしは,画像中に著作権者などの情報を埋め込み,検出する技術であり,画像の著作権保護,流通管理に重要な役割を果たしている.画像用電子透かしの本質的な技術課題の一つに,幾何変形を受けた画像からの情報検出があげられる.その際画像内に埋め込まれた透かしの位置が幾何変形の影響で変わることが問題で,透かし位置を単純に探索すると計算量が膨大となり,実用性が失われる.従来研究では,微少ランダム歪みへの効率的な対応方式および,スケーリング,回転シフトへの効率的な対応方式が提案されているが,これらの4種類の変形全てに対応する方式は提案されていない. 本研究では,微少ランダム歪みに対応する従来方式を拡張し,4種類全て及びその任意の組み合わせへの効率的な対応を可能とした.提案方式は,微少ランダムを受けた画像からは探索無しで情報を検出可能である.スケーリング,回転シフトについては透かし位置を探索するが,スケーリングと回転,縦方向シフト,横方向シフトを独立に探索できるので,計算量の組み合わせ的爆発を回避することができる.提案方式を実装,評価し,有効性を確認した. 上記の電子透かしを実用化するにあたっては,単に幾何変形に対応するだけでなく,透かし埋め込みに伴う画質劣化の防止,低コストマシン上での効率的な実装も重要な課題となる.本研究では,画像内容に応じて透かし強度を調整することで画質劣化を防止しながら,安価な汎用PC上のソフトウェアによって上記の電子透かしを埋め込む方法を併せて提案し,実装,評価した.
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