研究概要 |
本研究はノンフォトリアリスティックレンダリング,すなわち写真を非写実的な画像に変換する技法の開発を目的とする.本年度の主目的は,多彩な絵画の技法を模擬するアルゴリズムを開発することと,それらのアルゴリズムをリアルタイムに実行するための高速化技法を開発することである.その目的と当初の研究計画に沿って具体的に以下のようなノンフォトアルゴリズムを開発した. (1)3D物体の鉛筆画 3DCGのシェーディング画像と深度画像とから自己商画像を計算して,シェーディング画像を点描画に変換し,更に鉛筆画風の線描画に変換する手法を開発した. (2)高速ボロノイアルゴリズム ノンフォトCGでは画像のボロノイ分割を多用する.そこで,画像を2回スキャンするだけで画像のボロノイ分割を求める高速なアルゴリズムを開発した. (3)ビーズ画 画像からエッジを検出し,エッジからの距離変換を計算して均一色の円板を配置して画像を近似する手法を開発し,円板を球体に変換することによってビーズ画を生成する手法を開発した. (4)アポロニウス分割 画像をアポロニウス分割する手法を開発し,モザイク画像,ステンドグラス画像,タイル画増,ひび割れ画像,コラージュ画像などの生成に応用した. (5)貼り絵風画像 ポアソンディスクサンプリングで円板を画像内に配置し,円板を紙片に置き換え,紙片に紙の重なりによる凹凸や紙の表面のテクスチャを貼り付けて,実際の貼り絵を模擬した貼り絵風画像を生成する技法を開発した. (6)グラフスペクトル法による輪郭線 データをクラスタリングする手法であるグラフスペクトル法を画像に応用し,物体の輪郭線を抽出し,非等方平滑化フィルタをかけて抽出輪郭線を平滑化して,手描きの輪郭線を模擬したスケッチ風画像を生成する手法を開発した.
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