研究概要 |
本年度は,ボリュームデータの新しい補間法を開発する研究の最終年度として,開発手法を様々なボリュームデータに適用し,その有効性を確かめる実験を行った。具体的には,「放射線医療データ」,「大規模データ」及び「非正規・非構造格子データ」への適用実験を行った。また,その成果を国内外の学会等で発表した。 放射線医療データでの実験に関しては,放射線シミュレーション・ソフトウエアとして世界最大のシェアをもつGeant4(ジアント・フォー)で,提案手法で正規格子化したデータを利用する実験を行い,良好な結果を得た。また,可視化処理における有効性も確認できた。 大規模データでの実験に関しては,地球シミュレータセンターの海流データで補間実験を行った。その結果,微分場も含めて高品質な補間が行えることを確認し,微分場の可視化品質においては従来の三重線形補間法やスプライン補間法に勝る結果を得た。 非正規格子・非構造格子データへの適用実験においては,四面体格子やランダムポイントデータなどへの適用で良好な結果を得た.また,開発手法のデータ圧縮への有効性,大規模データに適したモンテカルロ・ボリューム・グラフィックスとの親和性も確認できた。 上記の実験結果は,前述のように,本年度内に国内外の学会で口頭発表された。また現在,学術論文誌に投稿する論文を執筆中である。一方,今後の展開研究の第一歩として,開発手法が生成する高品質な連続スカラー場を構造解析に応用する実験も行い,計算精度向上などで一定の成果をあげる見込みが立ちつつある。
|