研究概要 |
本研究の目標は,仮想現実(VR)環境を利用したフリーハンドスケッチによる図形入力インタフェースBlueGrottoをフロントエンドプロセッサ(FEP)化することであり,本年度までに下記の結果を得た.このことにより,3次元CADシステムに空間手書き認識サービスを提供するBlueGrottoFEPが実現され,さらにこれを実用CADシステムと連携動作させることで,全体として実用的な手書き入力3次元CADシステムが実現されることを明らかにした.またこれが,直感的な設計・デザインを行いながら同時に精密なCADデータを生成するという創造的な作図作業を支援するインタフェースとして有効であることを動作実験により示した. 1.BlueGrottoFEPの実装 平成18年度に開発した「BlueGrottoユーザインタフェース」と「BlueGrottoFEP-CAD間通信プロトコル」をC++とOpenGLを用いたマルチスレッドプログラムとして実装することでBlueGrottoFEPを実現した. 2.CADソフト側のインタフェースモジュールの実装 実用CADと1.で開発したBlueGrottoFEPとの間の通信を実現するためのCADソフト側のインタフェースモジュール(IFモジュール)として次の2種類のプラグインソフトを試作した.(1)「AutoCAD用IFモジュール」:機械系・建築系の実用CADの一つであるAutoCADに対応するモジュール.(2)「Shade用IFモジュール」:実用3次元CGソフトであるShadeに対応するモジュール. 3.BlueGrottoFEPの動作確認と調整 1.のBlueGrottoFEPと2.の2種類のIFモジュールとの間の連携実験を通して,連携動作のタイミングおよび表示系の調整を行うことで,BlueGrottoFEP-AutoCAD間およびBlueGrottoFEP-Shade間での密な連携動作を実現した. 4.BlueGrottoFEPの評価実験 BlueGrottoFEP-AutoCADおよびBlueGrottoFEP-Shadeのそれぞれが実用的な手書き入力3次元CADシステムとして動作することを実務的な作図実験を行うことで確認した.ここで特に,作図の大部分をBlueGrottoの直感的で一貫性の高い空中手書き入力で行いつつ細部の微調整をAutoCAD・Shadeそれぞれの高機能なコマンドを併用して行うことで,設計しながら作図を行うという創造的な作業を容易に行えることを確かめた.
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