研究概要 |
本研究課題では,楽曲データを対象としたクラスタリング手法の開発を行なう.特に,楽譜で表現可能な記号レベルの楽曲データを対象とした,組合せ論的なクラスタリング手法の開発を試みる.平成19年度は主に以下の点について研究を行った. Top-N形式概念に基づくメロディークラスタの抽出:昨年度開発した,標準MIDIファイル(SMF)からメロディー情報を抽出するライブラリを利用し,著作権問題をクリアしたWeb上のMIDIデータからメロディーを抽出し,174曲から成る楽曲データベースを作成した. このデータベースをもとに,所与の長さ(幅)の音符列(フレーズ)を属性とすることで,フレーズの集合としての楽曲を考え,類似したフレーズの共有を根拠とする楽曲クラスタをTop-N形式概念として抽出する枠組みを定式化した.計算機実験により得られたクラスタを考察した結果,メロディー(フレーズ)レベルの類似性だけでクラスタの十分な解釈を与えることは容易でないが,さらに抽象化された,例えばコード進行レベルでの類似性も考慮することで,楽曲クラスタの質をさらに改善出来るとの見通しを得た.
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