研究概要 |
自律型エージェントチーム制御におけるオペレータの状況把握の困難性緩和に向け,その多様な制御方策(戦略)に適した抽象度・詳細度による情報提供を可能とする戦略適応型機能階層インタフェースのプロトタイプ開発と実効性の検証を目的とする. 1.各個人戦略に適応した機能状態表示インタフェースの構築と予備的評価 (1)前年度の設計に基づき,自律型移動エージェントチーム競技シミュレーションとリンクしたプロトタイプシステムを構築した. (2)支援インタフェースの有効性を予備的に評価するため,約20名の被験者による評価実験を実施し,以下を確認した. ・ユーザが実際のミッションにおいて状況把握の支援を希望した各機能は,その全てが提案法を用いた本設計プロセスにおいて想定済みのものであった. ・インタフェース上の各種の機能状態表示は,各々で状況は異なるが,そのすべてがユーザによって有用と評価され,実際にミッションにおいて利用された. 以上の結果は,多様な戦略が用いられるミッションにおいて,ユーザが利用情報を状況適応的に選択可能なインタフェース環境(adaptable interface)が実現し得ること,提案法がその基盤設計論としての基本的有効性を有していることを示唆している.今後,機能状態表示によるパフォーマンスの向上を定量的に評価するため,さらなる実験によるデータの蓄積が必要である. 2.個人戦略モデルの緻密化 (1)獲得した被験者実験データに対する認知的タスク解析より,多様な攻撃・守備用戦略,情報の獲得方策,さらにそれらと各ユーザの技量などとの関係について知見を得た.この結果に基づき,支援対象とする機能の拡張などの設計上の変更を実施した. (2)個人戦略モデルの緻密化に沿って確率的認知タスクネットワークモデルも更新し,オペレータの思考,行動,心理的負荷の定量的予測について改善を図った.
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