可視化環境については、昨年度導入した偏光を用いたポータブルVRシステムによる3次元可視化の環境を整備した。 気象画像に関しては、時空間変動のビジュアルデータマイニングを支援する手法を検討した。具体的には気象画像をブロック化し、テクスチャに応じてk-means法によってクラスタリングした結果を、クラスタIDに応じて彩色の上、その時間変動を動画表示した。 植生指標データの季節変動のモデリングについては、これまで単年データのみを対象としていたML、MAP法による推定法を多年データに拡張することができた。この手法では年境界も自動的に決定されるため、恣意的な区分化やその付近のノイズによるモデルへのバイアスを防ぐことができる。一方で、複数年のデータを同時に解くことによってデータ数とともにモデルに含まれるパラメータ数も増加するため、0(N^2)で計算時間が増加してしまう問題が生じたが、オーバーラップをもったスライドウィンドウごとにモデリングを実施することによって、解の精度を損なわずに計算時間を0(N)に抑えることができることを実験によって確認した。この結果、大規模な多年の植生分布かちの変動のモデリング・マイニングのための準備を整えることができたが、GIMMSなどの実際のデータを使った実証は今後の検討として残された。 また、インターネットを通じたユーザによる利用環境としては、気象画像に関して、効率的なデータの取得ツールや一般ブラウザ上で可能なネットワーク画像処理についてめ研究も実施した。これらは、サーバーに対する負荷分散を実現する上で重要な検討である。 今年度は本申請研究の最終年度であったが、上記のとおり個別要素に関しては成果を得ることができたが、統合したシステムの構築・実践までは至ることができなかった。今後1-2年の予定で継続検討を行い、成果を発表していきたいと考えている。
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