研究概要 |
本研究では「コンテクスト情報を活用した事例ベース推論の枠組みをモデル化し,事例に基づくプログラミング自動評価・自動アドバイスのドメインにおいて,そのプロトタイプシステムを実装して,有効性を検証すること」を目的として研究を進めてきた.システムの実装は,情報処理技術者試験で用いられるアセンブラ言語CASL IIのプログラムを対象とした. 今年度は,まず,問題情報管理,ユーザ(履修生)管理,ユーザが提出したプログラムの管理のサーバ機能と,学生がプログラムを作成し,提出するクライアント,学生のプログラムの動作評価の機能を持つ基盤システムの統合テストを行い,バグを修正し,基盤システムを完成させた.さらに,作成した基盤システムを実際の授業に投入して実用性を確認した. その後,類似事例の検索と学生のプログラムとの照合処理,選択された事例の適用によって合否の決定とアドバイス文の生成を行う機能を部分的に実装し,その結果に基づき,コンテクスト情報を活用したプログラム自動評価の枠組みを整理することで本研究を総括した.事例のインデックスのための情報として,ローカルな環境での問題解決における特徴となる情報に加えて,グローバルな環境で事例を共有するためのコンテクスト情報を扱うことがポイントとなる.実際にはコンテクストが異なる授業が存在しないため,授業での実用評価はできなかったが,提案した枠組みでグローバルな環境で事例を共有できる見通しを得た.
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