研究概要 |
本研究課題では,空間内のスペース取り合いの問題として位置付けられる配置問題の典型的な例として,工学的にも重要なICやVLSIの設計におけるフロアプランに関わる問題を取り上げ,これを解決するための新しいアルゴリズムの開発及びその検証を行うことを目的として研究を進めている.初年度においては,実際のICやVLSI等の角形素子(A角形ブロック)に対する配置問題に取り組む前段階として,主にD角形ブロックの箱詰め問題に対するアルゴリズムの開発とその高速化に関する検討を実施した.ここで,"D角形ブロック"とは「ディジタル化された角形ブロック」の意味であり,単位長を一辺とする単位ブロック,または単位ブロック複数個を,隣接する2つのブロックが互いに他方の一辺を共有するように構成した角形ブロックを指す.D角形ブロックに対する提案法は,ピース配置に関わる位相的特徴量の潰し合いに着目した配置手順発見のための大域的な検索手法であり,空間的な評価としての"盤面の評価"とそれに基づく手順の評価としての"攻め手の評価"を活用して,最も有望な順序でピースを選択し配置するアルゴリズムから構成される.本アルゴリズムの詳細は,IEEE World Automation Congress (WAC2006)において発表済みである.さらに,ピース配置に関するヒューリスティックスを導入することによって処理の高速化を実現し,従来は不可能であった大規模な箱詰め問題を解くことに成功した.本アルゴリズムの高速化に関する検討の詳細は,Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics (JACIII)に採録済みである.
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