研究概要 |
概念を人間の知識として捉えた場合,無限個のデータの集合と考えるよりは,離散的な代表的な例の集合として考えることが適切と解釈し,以下のような離散的なデータの扱いに関しての基礎的な研究を行った. 我々の観測事象は多岐の特徴にわたっている.視覚によって得られる情報に限っても色,形,大きさなどがあり,それらはさらに細分化でき,例えば色は明るさ,青さ,模様の複雑さなどに分かれる.これらの様々な特徴の中から同一のカテゴリに入る共通の特徴を抽出する方法としてのルール抽出の研究を行った.また,我々の観察は物理的に解釈すると連続する数値であることが多い.それは長さであったり,重さ,明るさ,周波数であったりする.しかし,人間が識別を行う場合に連続的な数値を記憶し,識別に用いているとは考え難い.その場合,連続的な数値を幾つかの離散的な区間へと分割して記憶していると解釈するべきと考えられる.この観点を粒度という言葉を使い,識別に際してどの程度の粒度が適切であるかについての研究も行った.さらに,概念を木構造にたとえて,木同士の近さによって分類する方法についても研究を行った.一つの概念が多くの観測事象のから構成されていることを仮定し,その中から典型的なデータのみをプロトタイプとして抽出する研究も行った. また,応用として,雑音という無駄な情報に埋もれた観測音の中から発話された単語列を抽出する方法や人間の姿勢を臀部にかかる圧力から判定する研究も行った.
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