自ら移動して環境の情報を積極的に取得して行動する知能ロボットへの応用を想定し、映像を用いた実環境中の物体の頑健でかつ高速な探索法を開発することを目的として研究を行った。具体的には、カメラの位置や角度による幾何学的変形に対応するために、探索対象物体の画像を関数で表すことにより、高速・高精度な探索を実現する。本年度は、画像を関数で適切に表現する手法、および、関数を用いてテンプレートマッチングに基づく探索を高速に行う手法について検討を行った。 1.画像を関数で適切に表現する手法の検討 画像を関数で適切に表現する手法について検討した。関数形について、多項式、スプライン曲面、ベジェ曲面など、コンピュータグラフィクスの分野で用いられている関数形のほか、より自由度の高い陰関数多項式等を検討した。その結果、多項式により画像を十分な精度で表現できることが分かった。ただし、多項式で近似する際に最小二乗法等の良く知られた方法を用いたのでは計算誤差によって適切な近似画像が得られないことも確認された。そのため、直交多項式を用い、直交多項式の完全性を利用して画像の近似を内積計算で実現する手法を開発した。これにより、最小二乗法で近似した場合と比較してはるかに高精度な近似が実現できることを確認した。 2.関数を用いて探索を高速に行う手法の検討 画像を近似する関数と入力画像との類似度計算を効率よく行う手法を検討した。その結果、多項式の係数ごとに類似度を計算し、それを足し合わせることで、高速に類似度計算を行う手法を開発した。実験を行い、従来の高速化法と比較して、提案手法がはるかに高速であることを確認した。
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