主にハードウェア開発は葛谷が担当し、ソフトウェア開発は梅崎が担当した。以下に具体的内容を示す。 1.指紋読み取り、センサとインターフェイス回路の開発(葛谷) 高輝度LEDを用いた指紋読み取りセンサ、およびパソコンとのインターフェイス回路を開発した。レーザーを光源とする非接触型指紋読取も検討したが、高輝度LEDと比較して鮮明さに欠けていたので開発を中止した。 2.指紋データの収集(梅崎&葛谷) 一人当たり6指(両手の親指・人差し指・中指)の指紋を50人分以下の条件で収集した。 (a)指表面に特にノイズを付けず協力的に指紋を入力した場合 (b)指表面にマジックインキを付けた状態で協力的に入力した場合(ノイズ付加の実験) (c)指表面に水を付けた状態で協力的に入力した場合(ノイズ付加の実験) (d)意識的に指を傾けて入力した場合(回転付加の実験) (e)(a)〜(d)の指紋データ収集を1月ごとに収集した(約6ヶ月間) これにより6(指)×50(人)×4(種類)×6(月)=7200個の評価実験用データベースを作成した。 3.指紋照合アルゴリズムの開発と評価実験(梅崎) 指紋特徴点(中心位置にあたる)の自動検出、指紋領域の最適切り出し、および指紋の回転補正アルゴリズムを開発した。また、指紋画像のフラクタル次元を用いた照合アルゴリズムと性能についても検討した。これまで梅崎が研究開発してきた従来法(スペクトル解析に基づく照合法)との比較実験を行った結果、認証率は約95%と低かったが、有効性は確認できた。
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