研究概要 |
知的エージェントと人間が共生する社会の実現には,相互行為としての対話研究と,研究を促進するツール群の整備が重要である。代表者らはまず,(A)実世界の対象事物(以下オブジェクトと呼ぶ)と言語の対応関係を獲得し(語意獲得),同時に(B)対話調整機能を獲得する(対話戦略獲得)研究を進めた。語意獲得では,人間に指示された発話内容(例えば「四角」)に対応するオブジェクトの属性(形状,色相,明度など)を,Online-EMアルゴリズムから求める方法を提案した。しかし,この方法だけでは語意獲得の効率が低いことが判明し,続いて解決のために,幼児が持つ学習バイアス(事物分類性/相互排他性/形状類似性/…)を導入した。新しい学習法は,語意獲得効率を大幅に改善しその有効性が確認された。 知的エージェントは,人間(あるいは他のエージェント)と対話しながら新規の語意を教わる。その際,エージェントが質問方法と教示方法を自動的に獲得できるよう,相手の反応(表情変化)を報酬とした強化学習方法を考案した。またこの手法が対話戦略獲得に有効なことを評価実験から明らかにした。さらにアルゴリズムを効率化するため,Dyna-Q学習から相手モデルを形成し,短期間に対話戦略を学習する仕組みを提案した。最後に,以上の対話機能を組込んだ研究ツールを開発し,ツールを利用したエージェント間協調学習実験を通して,研究手法とツールの有効性を示した。
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