研究課題/領域番号 |
18500134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鏑木 時彦 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 助教授 (30325568)
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研究分担者 |
藤枝 守 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 教授 (80346858)
若宮 幸平 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 助手 (70294999)
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キーワード | 音声 / 発声モデル / シミュレーション / 声門流 / 境界層近似 / 調音観測 / 芸術表現 / 倍音唱法 |
研究概要 |
人の身体が有する音響学的な機能と、身体機構に基づいた言語音の生成、ならびに芸術表現に関連して、(1)言語音の物理的な生成機構の解明、(2)音声発話時における口腔観測システムの構築、(3)金管楽器の吹奏における口腔の音響的な機能解明、(4)倍音唱法(ホーミー)における発声法の解明、の4点について検討を行った。 (1)に関しては、有声音の音源である声門波の生成過程を明らかにするため、呼気が声門を通過する際の運動を流体力学的な観点から考察し、流れの境界層近似に基づいた、解析性の高い方法を検討した。この方法では、流れの領域は非粘性の主流部と、粘性の影響が現れる境界層に区別される。主流部をポテンシャル流解析、境界層を運動量方程式に基づいて数値的に解析することで、声帯に働く圧力や声門流量の高精度な推定が可能になった。さらに、言語的情報から音声を合成するモデルに関して、調音的な機構に基づいて音声の時間パタンを表現する方法を考案した。この方法では、調音結合による音素特徴の変動を自動的に生成できるため、現在主流となっている統計的な音声モデルに比べて、用意すべき音素パタンを大幅に削減することができる。 (2)に関しては、調音器官の運動を磁気的に多チャンネル計測する、3次元磁気センサシステムの検討を行った。我々の計測法の特徴は、送信コイルから生成される磁界パタンを予測する上で、近接場における磁気双極子モデルを使用していることである。今後は、本法の有効性を定量的に検証していく。 (3)と(4)に関しては、人の芸術表現における口腔の音響機能を特定するため、MRIを使用した声道形状の3次元測定を行い、現在は画像処理を進めている段階である。今後は、得られる声道形状データより、声道の音響特性の推定や、金管楽器の吹奏シミュレーション、音声からの声道形状の逆推定を検討していく。
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