研究概要 |
本研究は,映像のみから人の動作の立体モデルを作成する,新しいモーションキャプチャ法の開発を目的とする.本法は,固有空間を利用した人動作データベースの検索によって対象動作を認識し,その立体モデルを出力する.本法の独創的な点は,(1)カメラキャリブレーションを行わず,(2)マーカーを使用しないモーションキャプチャ法である点である.この2点を実現したモーションキャプチャ法は他に例がない. 本年度は,実環境におけるモーションキャプチャシステムの構築および実験を行い,手法の洗練と評価を行った. (1)映像から人物を抽出する方法の検討を行い,背景の複雑度を判定し抽出法を切り替えるMRRF法を開発した. (2)固有空間を用いた動作データベースの効果的検索法の検討を行い,固有空間を木構造で構造化することによって検索を高速化する方法を開発した. (3)基本的な人動作(手を挙げる,手を振る,しゃがむ,立ち上がる等)の動作データベースをもとに,実環境下での実験を行い,本モーションキャプチャシステムの有効性を確認した. 提案のモーションキャプチャ法では,動作データベースと立体モデル化の正確さの関係については,カメラの観察方向や画像の正規化によって類似する動作のモデル化にまだ問題がある.人物切り出しの画像処理の精度自体は特に問題はなかった.検索時間および全体の処理時間については,十分な高速性を実現することができた. カメキラャリブレーション不要,マーカ不要という2つの特徴を備えた本法は,(i)単一カメラで観察してもよいため従来法よりもはるかに使いやすい,(ii)の現場で直ちに撮影を開始できるため即時的事象の立体モデル化が可能,(iii)屋内外とも場所を選ばない,等,従来法にはない特徴を備えたモーションキャプチャ法である.
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