本研究の目的は、ロボットシステムの作業プログラムの作成過程の本質的な問題点に注目し、プログラムの作成過程を客観的に評価できるしくみをつくり、体系的な作業プリミティブの作成支援のための基礎技術を構築することである。平成18年度の研究計画・方法は、作業プリミティブ解析システムの作業実行系の作成、グロスモーション用作業プリミティブ作成支援シミュレータの構築、ファインモーション用作業プリミティブ作成支援シミュレータの構築を行った。 作業プリミティブ解析システムの作業実行系の作成については、作業解析・記録を可能とする新センサ系システムを構築し、アクチュエータ系と統合し、作業プリミティブ解析システムの作業実行系の作成を行った。具体的には、我々の開発したヤコビ行列のオンライン推定を用いた複数センサとアクチュエータの統合法を用いて、ビジョンセンサ、力覚センサをアクチュエータ系に統合した。これによりシステムのビジュアルフィードバック制御をインプリメントした。 グロスモーション用作業プリミティブ作成支援シミュレータの構築については、グロスモーション用に、センサ入力とアクチュエータ出力とのヤコビ行列オンライン推定に基づくシミュレータを作成し、プログラマの試行錯誤によって、特徴点の集合が、次のステップのファインモーションの準備位置姿勢をとる状態を実現できるかのチェックを可能とした。 ファインモーション用作業プリミティブ作成支援シミュレータの構築については、ファインモーション用に、擬似接触点を、テンソル解析を用いて座標に依存しない形で表現し、力覚センサからのデータを擬似接触点の軌跡として可視化するツールを作成した。従来は、擬似接触点の軌跡をある平面に射影して2次元の軌跡として状態判別に利用していたが、この手法の本来のパフォーマンスを利用可能とするために、この軌跡を3次元空間もしくは時間を含む4次元空間で可視化可能とする拡張を行い、状態判別に利用可能とした。このツールにより、今までプログラマが接触状態の変化を検出するために勘や知識に頼って作成していた部分を、すなわち、どのような擬似接触点の軌跡を描くべきか等について、可視化されたデータを元にパラメータを変化させて客観的に決定可能とした。
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