研究概要 |
(1)前年度に決定した測定方法に対して、等色関数が既知である放射輝度計を被験者に見立て,三刺激値を一致させるような等色実験を行い精度を確認した。さらに、実験に含まれる誤差の影響をシミュレーションによって検討した。その結果、本測定方法では、一定値以上の誤差(ノイズ)が実験結果に含まれると,推定した等色関数に影響を与えること、試行数が多くなればその平均値を求めることにより誤差の影響を小さくできることが明らかになった。 (2)従来方法で算出した等色関数と本測定方法と得られた等色関数の比較を優先的に実施した。5名の被験者に対して2種類の等色実験を行い等色関数を求めた結果、スムージング処理を行うことにより、ほぼ両者が一致することが明らかになった。また、両実験を行った全被験者から、従来方法よりも本測定方法の方が判断基準が容易であるという共通の内観を得られた。実験の性質上このような要素が重要であり、本手法の優位な点を明らかにすることができた。 (3)新たな被験者で等色実験を行い、計10名の等色関数を求めた。各個人の等色関数と標準観測者の等色関数の違いを計算により明らかにした。 (4)本等色関数測定装置の刺激光の交替呈示の機能的な制限により、視感効率を精度良く算出することが困難であることが判明し、黄斑色素濃度の推定は実施しなかった。 (5)異種メディア(CRT、ハードコピー)での等色実験データを2名の被験者で採取したが、各被験者の等色関数で補正した測色値でも完全に一致しないことが判明した。このことは、等色関数だけで異種メディア間での等色において他の要因も考慮する必要があることを示唆する結果である。 (6)得られた実験結果を2件の国際学会,1件の国内学会で発表を行った.
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