研究概要 |
本年度は,まず,多種メディアデータの調和度が感動生起に及ぼす影響の明確化を行った.感動を与える動画クリップと音・音楽クリップの組合せを8組選出し,次に,これらの組の調和度を人工的に変化させて感動の生起の度合いを調べた.調和度を変化させるために,各組を構成する動画クリップの再生速度を3倍,ならびに,1/2倍にしたものを用意した.実験は主観評価により行い,調和度を変化させない異種メディアデータの組合せと調和度を変化させたものを被験者に提示し,調和度と感動の程度を回答してもらった,本実験により,素材ごとの平均値の比較によって「調和」に有意差が認められた素材については,再生速度によって「調和」が変動する方向へ「感動」の評価も変動していることが確認された。また,「調和」と「評価性」の特徴を持つ因子には相関があり,その因子に含まれる印象語対の中でも「感動」に関する印象語対が特に「調和」との相関が強いことを明らかにした. また,画像から受ける印象が気分によって変化すること,ならびに,ある気分のときに検索行動として2パターン(強調タイプと緩和タイプ)があることを明らかにし,これを利用して,感性に基づくマルチメディアデータ相互検索の気分適応を可能とした. さらに,アルファ波のMEG生データから,脳磁波ベクトルの脳皮質上での可視化を行い,その時空間的伝播特性を調べた.今回,閉眼・開眼安静,開眼計算の意識状態に応じて,ベクトル時系列の時空間的なダイナミクスについての観察を行った.意識状態によって解析初期の段階の分布ベクトルの状態に違いが認められた.また,時間的な分布ベクトルの変化を調べた.この結果,状態に応じたネットワークの存在を裏付ける結果が得られた.
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