研究課題/領域番号 |
18500167
|
研究機関 | 九州東海大学 |
研究代表者 |
井手口 健 九州東海大学, 工学部, 教授 (60289626)
|
研究分担者 |
古賀 広昭 熊本電波工業高等専門学校, 情報通信工学科, 教授 (40249884)
|
キーワード | 触覚 / 振動 / MIDI / 体感音楽 / 動画映像 / 主観評価 / シェッフェの一対比較法 / SD法 |
研究概要 |
(1)触覚刺激付与と音像位置調整とを組み合わせた体感音楽聴取方法 前年度までの成果は、音そのものが出す振動を触覚レベルで体感できるよう設計したものであり、音声のタイミングと同時に振動が発生することになる。筆者が次に考えているのは、そのような自然な振動ではなく、人工的に作成した振動を意図的なタイミングで音楽に加えることで新たな音楽表現・聴取方法の提案ができるか否かである。このようなアーティフィシャルな振動を音楽構成の一部として効果的に組み込んだ音楽により、人間の感性に起こる変化を検証してみることとした。実験では被験者に複数のサンプル振動楽曲を鑑賞させ、一対比較法による主観評価を実施した。5つの実験の結果から、振動は音声に比べて音楽構成の一部として捉えにくい傾向があるものの、アーティフィシャルな振動を上手く音楽に組み込むことで楽曲に更なるノリを出すなど、新しい魅力を演出できる可能性があることが明らかになった。 (2)映像・音空間に触覚刺激や付加音を重畳した視聴覚コンテンツ作成方法 視聴覚コンテンツに振動触覚を加えることによる感性増幅効果の検討を進めた。映像素材はバスケットボールの試合の映像を使い、聴覚刺激としてボールのバウンドとダンクシュートの効果音、触覚刺激として振動ヘッドフォンを使いバウンドとダンクシュート時に振動触覚を付与した。一対比較法による主観評価実験の結果、振動触覚刺激と聴覚刺激両方に「臨場感」、「躍動感」、「好ましさ」の増幅効果が見られた。また、振動触覚刺激と聴覚刺激を両方加えたことによって相乗効果も確認できた。さらに、振動のタイミング、種類を変え触覚付与方法の検討を行った。ここでは選手の立場に立ったリアルな振動よりもバウンドに合わせた振動の方がより大きい感性増幅効果があるという結果となった。このように映像に触覚刺激を加える場合、触覚の質とタイミングを選ぶ設計法が今後の課題として抽出された。
|