研究概要 |
平成18年度、19年度科学研究費補助金を受けて上述した研究目的にしたがって研究を実施した結果、下記の基礎的な知見が得られた。 (1)触覚刺激付与と音像位置調整とを組み合わせた体感音楽聴取方法 複数チャンネル録音された再生音を遠方スピーカーから聴きながら,特定チャンネルの至近音と振動触覚を付与する体感音楽聴取方法の検討を進めた.その結果、特定演奏楽器の音像位置の調節や振動触覚の利用により演奏者感を感じながら音楽を楽しむという新たな音楽聴取設計が可能であるとの結果が得られた.本研究では,聴覚刺激と触覚刺激の配分方法など設計に結びつく定量的な検討が課題として残る。また、人工的に作成した振動を意図的なタイミングで音楽に加えることで新たな音楽表現・聴取方法の提案ができるか否かを検討した。その結果、アーティフィシャルな振動を上手く音楽に組み込むことで楽曲に更なるノリを出すなど、新しい魅力を演出できる可能性があることが明らかになった。 (2)映像・音空間に触覚刺激や付加音を重畳した視聴覚コンテンツ作成方法 視聴覚コンテンツに振動触覚を加えることによる感性増幅効果の検討を進めた。バスケットボールの試合の映像をに聴覚、触覚刺激を加えた結果、臨場感や迫力感の増幅に相乗効果が得られた。また、触覚刺激の種類を拡張し、映像にマッチした触覚刺激とミスマッチした触覚刺激を与えた場合の映像から受ける印象の変化を検討した。その結果、視覚と触覚の間には共鳴現象および干渉現象があることを把握した。今後はさらに触覚刺激の種類を増やし、視聴覚と触覚刺激の相互作用を明確にしていく。
|