研究概要 |
オンライン特徴抽出アルゴリズムおよび逐次マルチタスク学習モデルの研究を進め,以下の成果を得た. (1)複数のデータが同時に与えられたとき,それらに対して,一回の計算で固有軸の更新を行える新しい追加学習型主成分分析アルゴリズムを開発した.訓練データの中から特徴空間(または標本特徴空間)において一次独立となるものを選択し,固有軸がそれらの線形和で表わされることを利用して,オンラインで固有空間モデルを更新できる追加学習型カーネル主成分分析アルゴリズムを開発した.機械学習で通常用いられるベンチマークデータを用いて,固有空間モデルの誤差や識別率などを評価した.その結果,提案したアルゴリズムによって,固有空間モデルの近似誤差を最小限に抑えながら,高速に固有軸の更新を行えることを確認した. (2)識別器の追加学習,タスク変動の検知,既知・未知タスクの識別,タスク分類,知識転送の機能を有する逐次マルチタスク・パターン認識モデルを開発した.このモデルでは,タスク変動を検知すると既知・未知タスクの識別が行われ,既知タスクであれば長期記憶から対応する識別器を想起して追加学習を行う.一方,未知タスクと識別すると新しい識別器を生成し,現タスクの識別器から知識移転を行う.知識移転の効果を調べるため,機械学習のベンチマークデータをマルチタスク学習用に変更し,未知タスクに対する認識率の向上率を調べた.その結果,知識移転機能を導入することにより,高速に提案モデルの汎化能力が向上し,少ない訓練データで高い汎化能力をもつことを示した.また,単一識別器で逐次的に複数タスクを学習できるモデルを開発し,過去に学習したタスクのうち,最も類似度の高いタスクを特定し,その知識を選択的に転送する機能を付加した.その結果,単一識別器であっても,安定した学習が可能であり,選択的知識移転を導入することで,汎化能力の向上率が改善された.
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