研究課題
基盤研究(C)
競合学習を実現する情報量最大化法を提案し、各種の応用を通して、人間・生体系の情報処理過程の多くが情報量最大化のプロセスであるということを実証しようとする研究を行った。情報量最大化法は通常の競合学習と比較するとソフトな競合学習であり、より生体系の競合現象に近いものである。そこで、生体系の自己組織化を情報量最大化法の枠組みで行う研究を行った。また、情報最大化法は、計算時間が長く、通常の競合学習にくらべてまだ実用的なものであると言えない。これを克服するための研究も開始した。さらに、得られたネットワークの動きを理解するための方法の開発にも着手した。まず第1に、自己組織化マップの生成の問題である。情報量最大化法は、通常の競合学習を含むより一般的な方法である。したがって、競合学習の応用である自己組織化マップは情報量最大化法によって実現できることが期待できる。そこで、情報量最大化法の中に、ユニットとユニットの関係を取り入れた。ユニットが近ければ近いほど同じような振る舞いをするという条件の導入である。この条件の中で、情報量最大化をおこなうと伝統的な方法による自己組織化マップとほぼ同等のものが生成できるということを確かめた。情報量最大化は通常のWinner-takes-allを用いた方法と比較するとよりソフトであり生体系に近いものと考えられる。したがって、より生体系の自己組織化に近い現象を実現できる可能性が出てきた。第2に、計算法の加速化である。情報量最大化法は、ソフトでより自然に近いものであるが、通常の方法と比較するとその計算時間が長いのが欠陥である。そこで、この計算時間を早くする方法の開発にも着手した。開発中の計算法の一つは、強制情報(forced information)と言う方法である。これは、情報量最大化をおこなう前にすでに最大化は達成されているとして計算を行う方法である。すなわち、強制的に情報量を最大化しようとする方法である。この方法を利用すると問題によっては、数百倍も計算時間が早くなることが確かめられた。第3に、ネットワークの動きの理解の研究である。ニューラルネットワークの欠陥は、得られたネットワークの動きがほとんど理解できないことにある。そこで、ネットワークの動きにどの要素がもっとも貢献しているかを抽出する方法を提案した。これは情報損失法(information loss)と呼び、目的とする要素を削除したときの情報量とそうでない場合の情報量の差で測定できる。この方法を競合学習等で得られたネットワークに適用し、重要な要素が抽出できることを確かめた。
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