研究課題
基盤研究(C)
カーネル主成分分析(KPCA)やカーネル正準相関分析(KCCA)の考え方を動的なデータに拡張する試みのひとつとして、データの背後に巨大次元のマルコフ連鎖を仮定して、その遷移行列の固有値と固有ベクトルを推定する手法を考察した。先行研究として、固有ベクトルについてパラメトリックな形を仮定して一般固有値問題を解くことで、遷移行列そのものの推定を行わずに、ゆっくりした時間変化に対応する少数の固有値とそれに属する固有ベクトルを観測データから計算する手法が提案されている(高野・宮下1995)。われわれは、カーネル法を用いることで、KPCAやKCCAと類似の形式に問題を書き直し、パラメトリックな制約を越えた計算を可能にすることを提案した。これによって、手法の柔軟さ・実用性を失うことなく、固有ベクトルの形についての仮定を大幅にゆるめることが可能になる。本年度は主として手法の定式化を行ったが、現実的な例への応用については次年度以降の課題としたい。本年度を通じて、伊庭と赤穂は定期的に会合を行い、上の提案を詳しく検討するとともに、カーネル法、能動学習(Active Learning)、MCMCに関するアイディアを交換した。伊庭は、上の提案を含めたカーネル多変量解析に関する講演を、京都大学で行われたミニワークショップ「非線形科学と統計科学の周辺」(2007年2月)で行った。また、非線形ダイナミクスへのカーネル法の応用の一例として、カオス力学系の一般化同期をカーネル正準相関分析(KCCA)で解析することを提案した英文の論文(共著)をJournal of Physics A (Math and General)に発表した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Proc. of IEEE Symposium on Computational Intelligence in Bioinformatics and Computational Biology,Mar.31-Apr.5,Hawaii
ページ: 402-409
Journal of Physics A : Mathematical and General 39