研究概要 |
情報化社会では人々の行動が多様化したため,細分化された顧客層(セグメント)を明確に把握することが求められる.しかし,社会経済変数でセグメントを識別することが困難になった現在では,人々の行動様式(ライフスタイル)を軸に選好を捉える考え方が浮上している.図書館サービスの選好についても同様のことが言え,社会経済変数だけからは選好の差異をほとんど説明することができない.本研究は,大学生・一般市民・研究職+企画職を対象とする情報行動調査を通じて,多様なメディア利用の実際とその背後の心理の両方をカバーする「情報ライフスタイル」の類型を示すと共に,それを規定する因子を行動面と心理面の両面から明らかにすることを目的としている. 本年は,前年度の大学生を対象とするライフスタイル分析にひきつづき,第2フェーズとして市民の情報ライフスタイル解明と情報行動一般および図書館への選好意識との関連づけのモデル化をめざして,札幌市の一般市民を対象とする郵送質問紙調査を実施した.調査結果を調査対象地域における既存の来館者調査結果と照合するとともに,非来館者層と来館者層との間にある,情報行動に係わる相違点を明らかにした.また,これらの分析中で特徴的・先進的とみなすことができる市民のセグメントを識別し,その層を対象とする調査の企画と準備をすすめた.今後は個人別の選好意識の推定とその情報行動や情報に関するライフスタイル指標との関連の有無についての検討・分析を進め,その成果公表をはかる.
|