本年度の研究目的は、第1に、文献調査と最新資料の収集であった。文献調査で特に重視したのは環境経済学の文献を入手して、過疎化で衰退してきた自然環境と経済学との関係について、経済理論的に整理した。さらに、市場メカニズムの有効性についても検討した。いわゆる市場メカニズムと制度との関係について検討した。過疎地の自然環境は人為的な作用を受けた半自然環境であり、地域再生には独自の経済理論の構築が必要であるような感じを持っている。 第2は、条件不利地域における情報化対策による地域再生の方法について調査した。日本と食料貿易で密接な関係にあるオーストラリアでは、広大な国土の中で情報通信技術を活かした情報センターが稼動しており、その実態調査をもとにして、日本で適用可能か否かの検討を行った。特に、条件不利地域での情報センターの役割は、自然環境共生型の情報センター(テレワークセンター)であり、日本の農村の環境と知識産業の創造に有効であると考えている。 第3は、過疎地域の地域資源を調査することにより、環境省が指定している絶滅危惧植物が自生している地域があり、この地域資源をもとにして地域再生の方法が考えられる。具体的には、過疎地には希少植物が自生しており、これを写真や影像にとって地域から情報発信することにより、都市住民の賛同を得て、草原再生活動が動き始めている。これは重要な地域再生の方向であると考えている。 第4は、これまでの調査研究成果を公表することであったので、論文を大学紀要に掲載した。条件不利地域は食料生産に依存している地域が多いので、人間の欲求と消費経済システムの基本問題という観点から、地域再生の方法について分析し、考察した。
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