研究概要 |
本年度(最終年度)の研究目的と主な計画は、第1にデジタル・デバイドに関する総括的な資料収集と国の地域情報化政策に関する資料の収集および地域再生に関する文献調査であった。第2は,地域情報化の観点から過疎地の実態調査の実施と先進国の事例をはじめとする地域再生に向けてのシステムの開発研究であった。 第1の目的に関しては,国の情報政策および地域情報化の促進を担当している総務省の資料収集を行なった。また地域情報化に基づく地域再生方法に関しては,ICTを活用した社会的企業(イギリスやオーストラリアなどで実践されている)についての文献を収集して,デジタル・デバイドに対する資料およぶ文献研究を実施した。 第2の目的に関しては、条件不利地域でありながら地域再生に取り組んでいる旭川地域について調査した。また、条件不利地域で主要産業である農業を国の振興策に活かして成功しているオーストラリアの農産物流通システムの実態調査を実施して、地域再生システムのモデルとして調査分析した。 これらの結果,条件不利地域のデジタル・デバイド問題を解決するためには,地域情報化のインフラ整備中心の政策のみでは不十分であり,地域特産物などの流通システムと合わせて考えることの重要性を明らかにすることができた。日本の現実は、まだ光回線などのインフラ整備を中心にした地域情報化政策であるが、これでは不十分である。農林水産業などの地場産業とアイデア豊かに結び付ける地域情報化政策が必要であると結論づけた。しかし、現実の地域情報化政策を調べると、まだインフラ整備中心で進められており、インフラ整備後の維持経費の負担のみが増えて、さらに問題が深刻化してくるのではないかと懸念される。
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