現在のようなネットワーク社会において、インターネット上の情報をどのくらい有効かつ効率的に利用できるかという能力は、個人の能力として非常に重要である。そこで、このような能力を育てるための教育法を確立することを研究全体の最終的な目標とする。その下位目標として、本研究では、効率の良い情報探索方略に関する知見を得ることを目的とした。 平成18年度は、Webページ上で情報探索をする際にユーザがどこに注意を向けるかについて、変化の見落とし現象を利用して調べた。その結果、ユーザがサイトのトップページを見る時、最初にサイトID、セクションに注目し、続いてメインコンテンツ、ユーティリティ、最後にサブコンテンツに注目する傾向、すなわち、ナビゲーションに関わる要素から注意を向ける傾向が明らかになった。また、ユーザが同一サイトを繰り返し情報探索する中で、サイト構造を学習し、その結果として情報探索効率が向上することが示唆された。 平成19年度は、ユーザがどのような方略でサイトを閲覧すると、サイト構造の学習を通して探索効率の向上につながるかを明らかにするため、実験参加者に同一サイトを一定時間閲覧した後、サイト内のページおよびそのリンク構造を再生してもらった。その結果、情報探索を目的として閲覧を行った実験参加者が、サイト構造の学習を目的として閲覧を行った実験参加者と同じくらい正確に閲覧したページおよびそのリンク構造を記憶していることが明らかになった。また、正確に記憶していたページ数が多いほどその後の探索の効率も良いことが示唆された。 以上の結果から、ユーザがナビゲーション要素に注意を向ける傾向があること、またサイト構造の学習が情報探索効率の向上につながる可能性が示唆された。
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