研究概要 |
平成19年度に行った主な課題として以下の点が挙げられる。 1)本研究は、連想語に関する質問紙調査を行って連想反応を収集し、連想反応の適切さによってコード化して、ターゲット単語に対して集合での延べ数・異なり数を集計するなどのような整理して,連想反応データをJapanese word association databaseの第一版(JWAD-V1)として公開した(Joyce,2005;2006;2007)。JWAD-Vlは、反応者の50名から、2,099のターゲット単語に対して、合計104,800の連想反応からなっている。 2)JWADの第二版(JWAD-V2)の公開するために、調査を行い連想反応を収集し、それらのデータの整理という作業を続けた。大規模目本語連想語のデータベースをより効率的に構築するために、Web版の質問フォーマットを使用し、平成19年で11,280の新しい連想反応を収集した。Joyce(2005)が行った質問紙調査から収集した148,100の連想反応と、平成18年度と平成19年度に収集した24,542の連想反応を合わせ、現在全部で172,642の連想反応の整理作業を行っている。 3)語彙知識を捉える方法として、意味ネットワークが特に有効であると考えられる。本研究では、JWAD-V1の連想語データに基づいた意味ネットワークおよびACDの連想語データに基づいた意味ネットワークを作成し、グラフ理論やネットワーク分析を適用し、それらのネットワークの特徴を分析し比較した。次数分布やクラスタリング係数の計算結果、両ネットワークは、スケールフリーとスパース性の構造的な特徴を持っていることが明らかになった。さらに、階層構造的な意味空間の視覚化に有効なグラフクラスタリングRMCLを改良し、意味ネットワークに適用した。語彙連想マップの開発にとって、連想反応の集合とグラフクラスタリングから得られる単語のクラスタリングは、有益な比較材料となりうる。 4)連想語調査で見出された、反応時の書き間違いデータの分析結果、日本人は漢字の書き方に自信を持てない場合でも、漢字の構成要素もしくは全体的形態について何らかの視覚的イメージをもっていることが示された。
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