前年度の本研究で開発・妥当性確認済みのロボット不安尺度(RAS)およびロボット否定的態度尺度(NARS)を用い、今年度はさらに心理実験によって対ロボット不安・態度と対ロボットコミュニケーション回避行動との間の関連の再検証を行った。結果として、RASおよびNARSが予測妥当性を持つことが確認された。また、前年度において、ロボットに対する感情や意見以前にロボットと聞いた時に人がどのようなものを想定するかについて行った文化比較調査を再精査し、自律性などの属性の度合い、ロボットが実行するタスク、抽象的イメージに関して、ロボットのタイプおよび国によって想定度合いに差が存在することが認められた。また、新たな文化比較調査の準備として、国内において2種の社会調査を行った。これらの結果については、今後論文誌等において発表予定である。 さらに、前年度行ったロボット・AIセラピーに対する批判的考察を踏まえ、社会状況がこれらの心理療法においてクライアントに矛盾状況を引き起こす可能性を想定し、心理実験によって確認を行った。また、この実験結果を踏まえ、ロボット・AIセラピーが具体的に危険性を持つ状況を再精査し、前年度考察に対してさらに検討を行った。この検討結果は、査読付き学術論文誌に採択済みである。
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