高橋紘士による平成18年度修士論文「ブロックデータに対するグリギング法におけるパラメータ推定のためのアルゴリズムの研究」により、長方形格子上のブロック化データに基づく地球統計学的予測手法の理論的検討と、そのモデルパラメータの最尤推定法に対する効率的アルゴリズムが開発された。この手法は、実際の応用で登揚するより一般的な形状のブロックに対しても同様に適応可能であるが、実際の適用に当たっては、各々が多次元数値積分値からなるサイズの大きな共分散関数を何度も評価する必要があり、並列処理が不可欠なことがわかった。現在その数値実験を行っており、結果を待ち雑誌論文に投稿予定である。 さらに、臼田憲司による平成19年度修士論文「共変量データが大量にある場合のコクリギング法の研究」では、共変量が大量にありそのままではコクリギング法が適用できない場合に、領域をブロック化し、ブロック内の共変量の集合をブロックデータとして扱うという、新しいタイプのブロックデータを考えることによるコクリギング法を開発した。こうした場合の標準手法である選点コクギリング法との性能比較を数値シミュレーションで行った結果、新手法が全体としてよりよい性能を示すことを示すことができた。この結果もさらに数値実験を行ったうえ、雑誌論文に投稿予定である。 又、地球統計学的手法の実際の解析にも全世界的に広く使われているオープンソースの統計解析システムRの言語機能を詳細に解説したマニュアル「Rプログラミングマニュアル」を出版し、好評を得ている。
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