研究概要 |
N(ソース)×N(対象)×m(変数)の3相配列の各ソースk(=1,...,N)に対応するn(対象)×m(変数)のデータ行列X_kに主成分分析を適用すると,n×p(成分)の成分行列G_kとm×pの負荷行列B_kが得られるが,S_kを任意のp次正則行列とすると,X_k〓G_kB_k'=F_kA_k',ただし,F_k=G_kS_k,A_k=B_kS_k^<-1>'となる.すなわち,解に正則変換に関する不定性があるため,成分と負荷のソース間比較ができない.これらのソース間比較を可能にするS_kを同定するために,目的関数 φ=αΣ^^N__<k=1>‖F_k-F‖^2+βΣ^^N__<k=1>‖A_k-A‖^2=αΣ^^N__<k=1>G_kS_k-F‖^2+βΣ^^N__<k=1>‖B_kS'_k^<-1>-A‖^2 を最小化するF(全ソースに共通の成分),A(共通負荷),および,変換行列S_k(k=1,...,N)を求める方法を考える.ここで,αとβは,α=(Nn)^<-1>およびβ=(Nm)^<-1>といった定数である.上記の目的関数φの最小化を同時プロクラメテス分析(JPA)と呼ぶことにする.JPAのアルゴリズムの開発,プログラムの作成,および,シミュレーションによるアルゴリズムの精度の評価などが,本年度の研究目的であった. 所与のS_kのもとで関数φを最小にするFとAを求める「FAステップ」と,所与のFとAのもとでφを最小化するS_k(k=1,...,N)を求める「Sステップ」を交互に反復するアルゴリズムを構成した.ここで,Sステップは,φがパラメータめ行列S_kとその逆行列S_k^<-1>の関数であるため,直接的な扱いが困難なステップである.この困難を克服するため,S_kを,その特異値分解を用いて, S_k=P_kΛ_kQ_k' とリパラメトライズする方法を考えた.この方法によるSステップの最小化は,四時方程式を解くことに帰着されるΛ_kの算出と,直交および重みつきプロクラステス回転に帰着されるP_kおよびQ_kの算出の交互反復によって達成される.以上のアルゴリズムのプログラムをFORTRAN言語によって作成した.真のF,A,S_k(k=1,...,N)から生成したG_kとB_kに,以上のJPAアルゴリズムを適用するシミュレーションの結果,満足できる精度で,真の行列を再現できることが確認された.
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