日本全国約50観測所の年最大日降水量のデータのトレンドを調べた.このために、一般極値分布の場合の局所尤度スムージングのプログラムを作成し、データの解析を行った.各データごとに一般極値分布の位置、尺 度、形状の3パラメータの推定値を描かせ、それらの値の年による変化を調べた.一方、一般極値分布の3つのパラメータに構造を入れたモデルを考え、データに適合して解析した.次に、AIC最小モデルを選択する事を考えた.このAIC最小のモデルは、多くの場合にスムージング結果と整合性があった.小数ではあるが変動の激しいスムージング結果があり、パラメトリックモデルが適合できそうにないデータもあった.また、極値データの場合に通常の回帰でトレンドを調べる方法の漸近相対効率を求わた. 極値データ解析で、信頼できる再現レベルの推定のために必要なデータ数を決める経験度を定義した.これは回帰分析におけるテコ比に相当する量である.この経験度の理論的な性質を明らかにし、波高等の実データへの適用を行いその有用性を示した.また、関連して、再現期間プロットを考え、年最大日降水量データに適用しその有用性を示した. 単純多変量指数分布は、多変量極値分布の特別な場合になる.2変量の場合に、その分布の基本的な性質、シミュレーション法、パラメータの推定法等について調べた.推定法の精度をシミュレーション実験で明らかに した.また、年最大潮位データの解析を行ないその有用性を示した.
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