研究課題
交通流時系列には1/fの揺らぎが含まれていると言われてきた。武者と樋口による先駆的研究(1976)がこのことを最初に示したが、観測時間が短いという問題があった。交通流には、人間の活動の周期性を反映して、一日の周期性を中心として、様々な周期性が含まれている。この様々な周期性を適切に除いた時系列の揺らぎの解析が必要である。本研究の研究代表者を含む研究グループは、非定常的時系列データの解析手法の一つであるDFA (Detrended Fluctuation Analysis)法と呼ばれる方法を用いることで、交通流時系列の解析を行い、1/fの揺らぎが含まれていることを明らかにしてきた。 インターネットの流量時系列についても、交通流時系列と同様に、人間活動の周期性に隠れた揺らぎの性質に関心がもたれている。交通流時系列と同様にDFA法を用いることで、数ヶ月にわたる1/fの揺らぎの存在を明らかにすることができた。この1/fの揺らぎ起源については、インターネットが持つ様々なメカニズムによる生成の可能性と、外的要因の可能性がある。揺らぎが流入と流出に共通的に出現することから、インターネットの構造との関係が薄いことが示唆される。交通渋滞は、密度をパラメタとした動的相転移として理解することができる。このことを実験的に検証した。円形サーキットというボトルネックなどがない状況でも臨界密度を越えると渋滞が発生することが検証された。また、停止した車両のクラスタがほぼ時速20キロメートルで後退し、高速道路と同様の現象が起こることも確認できた。交通渋滞を動的相転移と捕らえる視点が検証できた。
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Journal of Physical Society of Japan 76
ページ: 044001-1-044001-5
Traffic and Granular Flow '05 (Springer-Verlag, Berlin)
ページ: 709-706
http://syllabus.dl.saga-u.ac.jp/cgi-bin/res/res_search_dept_make.cgi?CENTER_ID=tadaki&LANG=jp