高速道路の流量やインターネットのパケット流など、1/f的ゆらぎを持つとされる流量データが複数知られている。本研究の研究代表者らは、高速道路流量とインターネットパケット流について、数日から数週間にわたる1/fゆらぎの存在を明らかにしてきた。 流量解析のためのデータ取得において、時間解像度が上がると、一般には様々な雑音が入りこむ。このような雑音が、長時間相関の解析に与える影響について検討した。長時間相関の一般的な手法であるスペクトル解析は、雑音に大きく影響され、長時間相関の解析が非常に困難になる。一方、前述の高速道路流量はインターネットパケット流量解析で用いた方法であるDFA (Detrended Fluctuation Analysis)では、雑音の影響する時間領域を特定することが可能となり、雑音の影響をうけずに解析することが可能となることを明らかにした。 1/fゆらぎの起源については、システムの内的理由と外的理由が考えられる。インターネットに現れるゆらぎの外的理由の候補として、インターネット需要そのものに1/fゆらぎが含まれている可能性がある。このことのひとつの事例として、電子メール送信の時系列解析を行った。上述の雑音を考慮することで、1時間より短い部分は雑音が主であり、それよりも長い時間スケールに1/fゆらぎが存在することを明らかにした。
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