研究概要 |
拡散過程に対する各種推測方法を計算機に実装するため,これまでの結果を整理し,具体化する作業を進行させた. 特に,定常的,あるいは,エルゴード的な場合の連続観測に対する最尤推定量,擬似最尤推定量,尤度比検定統計量,ラオ検定統計量,ワルド検定統計量,修正ワルド検定統計量,ベイズ判別関数,プラグイン判別関数,尤度比型判別関数の漸近キュミュラントの計算を行い,オルンシュタイン=ウーレンベック過程,CIR過程,平方根過程などの具体的な拡散過程に対して,得られた公式が,精度の高いキュミュラントを与えるかどうか,代数的ソフトウェアによる計算や数値シミュレーションを行い検証した.また,拡散係数が小さい場合,いわゆる,small diffusionに対しても,同様に,上記の推定量,検定統計量,判別関数について,拡散過程を具体化したときのキュミュラント計算公式を求め,代数ソフトによる結果,数値シミュレーションによる結果と比較検討し,精度の高い公式を得ることができた. 拡散過程が多次元である場合は,キュミュラントの陽なる表現が容易でないので,その推定方法を検討する必要があり,離散観測の場合や飛躍がある場合などと合わせて,今後の検討課題となった.
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