研究概要 |
金利のダイナミックスをエンピリカルデータから推測する時,その統計的なリスク評価が問題となるが,エンピリカルデータそのもののダイナミックスが複雑であるため,評価が困難であった.しかしながら,長期間のデータにエルゴード性を仮定することで,混合性を持つ確率過程に対する漸近展開を利用できることがわかり,最尤推定量の分布の高次漸近近似を求めることに成功した.また,尤度比検定統計量などの最尤推定量を利用する検定統計量に対しても,同様のアプローチでその高次漸近近似を求めることができた.この結果,金利のCIRモデルにおけるリスク評価式が明示的に求めることができた. また,株価など拡散過程でモデル化される連続時系列が,ポアソン時間などのランダム時間でサンプリングされる時,それに基づく統計量の分布に対する近似公式を導いた(Sakamoto, Y. and Yoshida, N.2008).ランダム時間の観測値に基づく統計量は,拡散過程の関数の点過程による確率積分で表現されるが,点過程に内在する確率的独立性に注目すると,混合過程に対する漸近展開を利用できることが明らかになり,結果として統計量の分布の高次漸近近似公式が得られた.
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