ターゲットとして、共役事前分布と一般化線型モデルの共通性を追求することを挙げた。これは、一見制約的な条件の下に実際的な手法の提案をすることにある。理論を重視することにより、他の成果との関連が明確になるので研究結果に蓄積が効く。その結果、提案するモデルがより信頼できるものになる。研究遂行の切り口として、用いる特殊関数と近似法の範囲を拡げることがある。実際これまでの研究でも特殊関数の利用より周辺分布の表現により推論を容易にすることが出来た実用的なモデルである、指数分布族の属する誤差項を持つ一般化線形モデルがかなり解明できた。 本研究の当初は、見通しの利かない面があったが、本年度になって大きく進展できた。研究の途中から中央大学で研究を続行することになり、ある種の刺激を得ることが出来た点がある。また、院生の協力を得ることが出来た。その結果、ガンマ回帰モデルでのhybrid型ベイズモデルを実装することができた。これは、これまでに研究してきたロジットモデルを拡張する内容となった。ガンマ回帰モデルの方が理論的にも扱い易く、しかも既存の手法が貧弱であることからその成果が実用化されることが期待される。 更に、また形にはなっていないが、長い間気がかりであったBayes因子に対抗する新しい提案の着想が纏まってきた。この着想は、ベイズ手法の根幹にも係わるもので、本研究の構想の副産物である。母数の推定については、規準が簡明であるので研究は進みやすいが検定の問題が絡むと壁に当たりやすい。本研究では、推定を予測として把えていたので、予測の延長として検定を把えることが出来た。その結果、Lindley paradoxとして指摘されていたベイズモデルでの周辺尤度の利用の限界を指摘することが出来た。このことは逆に見ると、KL分離度を評価関数とする我々の接近方法の妥当性を示唆している。
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