研究概要 |
本年度の研究成果は以下の3点である: (a)等間隔格子点上のカイ2乗確率場における最大値の判定閾値の設定法については,今までの研究によって逐次解析や非線形再生理論を用いた方法が得られている.しかしながらこの方法は,マーカー遺伝子の位置が等間隔であるという現実から離れた仮定をおいたものであった.この仮定をゆるめる形で,マーカー間隔が独立に同一分布に従うというモデルを考え,そのときの確率場の最大値分布を導出し,判定閾値の設定法を与えた. (b)マウス2系統の行動データについてQTL解析を行った.さらにその結果に基づいて共分散構造解析を行うことにより,行動を規定する遺伝子の連関についての仮説を得た. (c)一対比較モデルにおける3すくみ構造の検出に関する多重比較法を与えた.ここで考えている問題設定は,測定誤差分散が未知であり,またその推定量も利用できないという現実的な状況である.統計量の分布は複素ウィシャート分布の固有値で記述することができる.その分布の裾確率の陽な解析式をチューブ法の考え方を援用して与えた.
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