研究課題/領域番号 |
18500229
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高木 清二 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80372259)
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研究分担者 |
上田 哲男 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20113524)
中垣 俊之 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (70300887)
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キーワード | 真性粘菌 / パターン形成 / 回転ラセン波 / Physarum / 反応拡散 / 行動決定 |
研究概要 |
粘菌の厚み振動が示す多様な動的パターン 巨大な真性粘菌の変形体から取り出した内質ゾルは5時間程度で移動する変形体として振る舞う。変形体として移動し始めるまでの厚み振動パターンを観察した。厚み振動の時空間パターンは4つの特徴的なパターン、すなわち定在波、時空カオス、回転ラセン波、同期パターンを示し、パターン間を自発的に遷移することで細胞全体が同期した振動パターンへ時間発展することを発見した。また、回転ラセン波の発生は管構造などの空間的に不均一なマクロな細胞構造を壊す生理機能をもつ事が明らかとなった。これにより、細胞はより柔軟に行動する事ができる。また、内質ゾルの形状を円盤状から細長い紐状にすると、パターンの空間的な対称性が代わり、長軸方向に伝搬する波の発生が見られた。また、紐状の場合、振動パターンの同期が強くなり、その波長が変形体と同等サイズに成長するとほぼ同時に、変形体の長軸方向に沿ってその中心に管が形成された。同期の強さと管形成に強い相関のある事が明らかになった。 粘菌の逡巡行動 粘菌の刺激応答において、行動決定までの逡巡と行動の不確実性など高等動物の示す行動心理に相当する現象を発見した。粘菌変形体を細長い通路に這わせその前方に忌避物質を置くと、粘菌はそれに出会った後数時間その場にとどまり、その後行動決定する。その行動は忌避物質濃度の上昇とともに、反射、分裂および通過を示す傾向にあるが、忌避物質上にとどまる時間と行動決定は個体によって異なる。また、このような粘菌の行動を、反応項にGray-Scottモデルを用いた単純な反応拡散モデルにより定性的に再現し、そのダイナミクスの理解に成功した。
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