19年度実験実施計画に基づき下記の検討を行った。 <具体的内容> 1:認知症モデルマウス(SJLB)海馬の発現蛋白プロファイリング 認知症モデルマウス(SJLB)とコントロールマウスの海馬より抽出した蛋白を2次元電気泳動で展開し、発現蛋白のプロテオーム解析を行った。解析は、発現量の比較のみならず、蛋白のリン酸化程度を指標として行った。両者でリン酸化の程度に差がある蛋白分子を多数見出し、質量分析法で同定した。その成果についてはNeuro2007にて発表した 2:薬物投与による蛋白プロテオームの変化の解析 認知症モデルマウス(SJLB)において、塩酸ドネペジル投与の有無による蛋白発現の変化、及び蛋白リン酸化程度の変化を検討した。塩酸ドネペジル投与で発現量、リン酸化程度が変化する蛋白分子を多数見出し、その幾つかについては質量分析法で同定した。成果については、第81回日本薬理学会に発表した。 3:行動変化につながるタウ蛋白の物性解析 タウ蛋白の凝集が行動変容を含めた病態発現に強く関与している。タウ蛋白の微小管結合部位に注目し、その凝集のメカニズムを検討した。さらには、凝集を阻害する物質の探索を行った。 <意義・重要性> 1-2で見いだされた蛋白分子は認知症発症に関与することが考えられ、認知症の病態解明に寄与するのみならず、認知症治療薬の開発の夕ーゲットとして有望であることが期待される。3で見いだされた阻害物質についても認知症治療薬の開発につながる可能性が期待される。
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