研究概要 |
AATYK(Apoptosis-Associated tyrosine kinase)は、脳に多くに発現しているプロテインキナーゼでチロシンキナーゼドメインと高い相同生を持つが、セリン/スレオニン活性を有するユニークなキナーゼである。3つのファミリー分子(AATYK1,2,3/LMTK1,2,3)からなり、いずれも膜に結合している。小脳顆粒細胞の細胞死や神経突起伸長への関与が示唆されているが、その分子機構については明らかになっていない。本研究は、AATYK1の神経突起伸長作用に着目し、其の分子機構を明らかにすることにより、神経回路形成過程における新たな知見を得ることを目的にする。昨年度は、AATYK1と相互作用する蛋白質、リン酸化基質の候補について、プロテオーム解析を用いてスクリーニングを行った。本年度は結合候補蛋白である、クラスリンアダプターAP2に注目して解析をおこなった。AP2は、GST融合AATYK-pull down法により単離、同定した。免疫沈降法により哺乳細胞でもAATYKとAP2は相互作用することを確認した。野性型のAATYKは、エンドサイトーシスされたトランスフェリン小胞と共局在すが、キナーゼ欠損型は、異なる局在パターンを示した。また、野性型AATYKの過剰発現は、接着分子L1のエンドサイトーシスを亢進させる。以上の結果から、AATYKはAP2のレベルでクラスリン依存エンドサイトーシスを調節することが示唆された。現在、AATYKによるAP2のリン酸化と神経突起伸長作用について解析中である。
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