研究課題
RP58はN末にPOZドメイン(別名BTBドメイン)をもち、C末にZnフィンガーモチーフを有するPOZ-ZF蛋白(またはBTB-ZF蛋白、POK蛋白)である。配列特異的な転写抑制活性をもちヘテロクロマチン領域に局在する(Aoki, et al.,1998)。POZ-ZF蛋白はクロマチン構造に関与し、発生とがんに重要であることが知られている(Stogios et. al.,2005;Kelly & Daniel,2006)。RP58の発現をin situハイブリダイゼーション法で詳細に調べたところ、胎生期で大脳皮質に強く、とくに神経細胞の最終分裂の場である脳室下帯SVZで強く発現していた。また、弱い発現が神経系全体のVZでみられた。また成体においてRP58発現ニューロンはグルタミン酸作動性ニューロンであることを明らかにした(Ohtaka-Maruyama et al.2007)。このRP58の欠損マウスを作製したところ、出生致死であり、大脳皮質の形成不全が顕著であった。本欠損マウスの大脳皮質はサブプレート層を欠損し、6層構造が大幅に乱れ、層特異的な分化マーカーの発現も低下していた。興味深いことに遅生まれのニューロンではカルシウム結合蛋白Calretininの異常発現がみられた。新皮質ではCalretininが過剰に発現し、海馬歯状回領域ではその発現が減少していた。さらに視床と新皮質の線維連絡が著しく障害されていた。また、RP58欠損マウスではアポトーシスの亢進があり、RP58が皮質興奮性ニューロンの生存に重要であることが示唆された。さらに、RP58欠損皮質では神経前駆細胞の分裂様式にも異常がみられ、今後、脳室帯における解析をする必要がある。
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