研究課題
神経栄養因子類は神経細胞の生存・分化.シナプス機能の亢進を行う神経系の成長因子であり、その生理作用とレセプターを介したシグナル伝達機構の研究が世界的に重要となってきている。しかし、神経栄養因子自身の分泌と細胞内輸送のメカニズムについては研究が遅れている。その理由のひとつは、神経栄養因子自身の発現量が少ないため解析が困難なことにある。我々は、神経栄養因子BDNF(Brainiderived neurotrophic factor)を研究しているが、この分子についても分泌と輸送のメカニズムはほとんど解明されていない。神経栄養因子が複雑な神経回路の中でどのような時空間制御をもって分泌・輸送されるのかを解明することは、レセプターを介したシグナル伝達の理解と同様に重要である。本研究では、この問題を解明できる分子基盤としてBDNFとの相互作用分子候補を生化学的手法と質量分析法を用いて100以上同定した。相互作用分子は細胞機能の観点から6群に分類されていたが直接的相互作用を行う分子と間接的に相互作用する分子が含まれると考えられた。いくつかの分子についてはビアコアを用いて結合定数の決定までを行った。また、脂質分子の相互作用性も解析した。結合定数を決定した分子種については、抗体を用いた相互作用の阻害実験、結合環境の決定などを含めて行った。これらの結果に基づいたBDNFの薪たな分子メカニズムが解明されるものと期待されると同時に、蛋白質同土の相互作用研究への貢献が期待される。
すべて 2007 その他
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http://unit.aist.go.jp/rice/index.html