1.ニューロプシンノックアウトマウスからオリゴデンドロサイトの初代培養を行い、その表現型を検討した。形態的特徴と化学的特徴に関しても野生型からのオリゴデンドロサイトと比較して差は認めなかった。Matrix metalloproteinasesであるMMP2とMMP9発現量に関しても通常の状態において野生型とノックアウト動物との間には有意な差は認められなかった。これらの細胞に対し、TNF α、lipopolysaccharide(LPS)を投与したが、細胞の生存率に関する差は認められなかった。 2.プロテアーゼM遺伝子ノックアウトマウスにおいて脊髄損傷およびexperimental allergic encephalomyelitis(EAE)を発症させ、これらのマウスでのミエリンの変化の差異を組織学的、生化学的に検討した。KLK6ノックアウトマウスに対してEAEを発症させたところ、行動学的にはKLK6ノックアウト動物において野生型に比べ発症の時期が遅く、程度も軽かった。MMP2とMMP9の発現量自体にはKLK6ノックアウトによる差はなかったが、ザイモグラフィーによる活性化はノックアウト動物において低下していた。ミエリン塩基性タンパク質(MBP)発現を検討した結果、ノックアウト動物では、野生型よりもミエリン傷害の程度は軽かった。 以上の結果より、KLK6がEAE発症に重要な関与をしている事が示唆された。
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