研究概要 |
MRIを用いた脳の拡散テンソル画像は方向の情報という,従来の画像診断法にない特徴をもち,それを利用した拡散テンソルtractographyにより白質路の抽出が可能となる.我々は,拡散テンソルtractography作成ソフトを開発し,脳腫瘍、脳梗塞、脳動静脈奇形などの臨床応用を行っている.この研究では、臨床的にもっとも重要な錐体路のtractographyにつき、精度の検証を行うことを目的としている。 平成18年度では、拡散テンソルtractographyによる新たな錐体路の描出法を開発・検討した。具体的には,錐体路描出の妨げとなる線維を削除してから、錐体路のtractographyを描くというもので、大脳では交叉がもっとも問題となる上縦束の事前抽出を行ってから、錐体路の各成分を描く手法の開発、検討を行った。 また、平成18年10月より、我々の施設にも今後の脳MRIの標準となると思われる3テスラMRIが導入された。そのため、正常ボランティアデータの新たな取得を行った。現在、500名の正常人の拡散テンソルデータが取得できた。同時に、小梗塞のデータ蓄積も行っているが、1施設での症例数増加には限界がある。 正常での錐体路を標準脳上にmappingできれば、個々の梗塞間者に関しては拡散データがなくともある程度の検証が可能となる。その手法のために、まず3TMRIを用いた良好なデータを下に、標準脳上での白質マッピングを構築中である。
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